仮払金にご注意! 資本金の3倍の仮払金

ユメタスコンサルティング » 経営コンサルティング » 仮払金にご注意! 資本金の3倍の仮払金
no

仮払金にご注意! 資本金の3倍の仮払金


 
     
この記事を読むのにかかる時間 : 約10分


先日、ある大手税理士事務所で作成された決算書を見て驚きました。

資本金300万円の同属会社で、
社長に対する仮払金が、1000万円を超えていたのです。


原因を社長にお聞きしましたが、わからないというのです。
税理士事務所からの問い合わせや、説明もなかったとのことです。

通常、決算において、不明な点や疑問が出てくれば、税理士事務所の方から問い合わせがあるはずです。
  
  

(1)公私混同か?


同族会社で、仮払金が大きくなる可能性は、
社長の公私混同(会社のお金で、個人的な支払いを行う)が考えられます。

そこで、私は社長に
「家庭に関する支払いを会社に立て替えてもらいましたか。」
「社長の個人的な趣味に関するものを会社で購入していませんか。」

 
などの質問をしました。

答えは、
「そんなことはありません。」

社長に失礼と思いつつ、遠慮ながら
「飲食店での交友ややギャンブルはなさいますか。」
までお聞きしましたが、

当然 答えは、
「やっていません。」

社長の人柄、会社の中にある備品や雰囲気からも、社長のお答えに間違いはなさそうです。
  
  

(2)設備投資や商品仕入れ?


生産設備や車両を発注した際の前払金が、仮払金で処理されていることもあります。
 
前払いした内容が、経理担当者や税理士事務所に伝わっていないために、仮払金と処理されてしまうケースです。

新規の商品や、割安商品を仕入れるためにまとまった資金を前払いすることもあります。
これも連絡に不備があれば、仮払金になってしまいます。

「社長、設備投資や仕入れの前払いはありませんか」

「ありません。」


原因はこれでもなさそうです。
   
   

(3)従業員や取引先への貸付?


従業員や取引先に頼まれて、資金を融通(貸付)した場合にも、
経理担当者や税理士事務所に伝わっていなければ仮払金となります。

「社長、資金を貸したことはありますか」

「ありません。」

   
   
さてさて 困りました。
原因がわかれば、仮払金はしかるべき科目に振り分けられます。
  
しかし、このように原因が不明なままでは、社長に返してもらわなくてはなりません。
返還してもらうまでは、利子も発生してしまいます。

さらに言えば、原因のわからないものを社長が会社に返還できるでしょうか。

本当に困りました。
   
そこで私は、社長への質問を重ねざるをえなくなりました。
    
    

(4)経費(損金) の隠蔽?


中小の同属会社の場合、
 ・許認可を受ける(継続する)ため、
 ・元請会社や原材料の取引先の信用を維持するため、
 ・または、融資や資金繰りのため

などの理由で、粉飾決算(赤字決算を黒字決算と偽ったり、黒字額を水増しすること)を行っていることもありえます。

所得税や法人税などを余分に納めることもいといません。
   
このような場合、売り上げを架空計上するか、経費を圧縮(計上した経費を減額する)していることが多いのです。

経費の圧縮しても、支払った事実は消えていませんので、本来の経費を仮払金として処理されることになります。

だんだん深刻な話になってきましたが、
「社長、経費を圧縮したり、粉飾をやっていたのですか。」

「やっていません。」


この会社の場合、粉飾決算を行うメリットも見当たりませんでした。
    
   

(5)従業員の不正?

  
話が、どんどんきな臭いところに入ってきてしまいました。
原因追求のためには、やむを得ません。
  
可能性の話として、次のことが考えられます。
  
・会社の資金や商品を従業員等が横領した結果、仮払金として計上されている。
 
・従業員が、取引先にだまされたり、強要されて会社の資金や商品を横流しした結果、
 仮払金として計上されている。

預金や仕入れを特定の人に任せ、違う人間のチェックや上司の確認が、おろそかな場合には不正が起こりえます。

「預金の管理、原材料や商品の発注、売掛金の回収確認、在庫の確認は
 誰がやっていますか。」

「最終確認を全部 私(社長)がやっています。特に不審な点はないです。」



不正の兆しがないのはよかったのですが、
仮払金の大きくなった原因は、まだわかりません。

さあ困りました。
   
   

(6)意外な結論


「社長、出張の際の交通費やガソリン代が、あまり計上されていないようですが、
 どのようにして、支払っていますか。」

「あとで、わかりやすくするために、クレジットカードで支払っています。」

「法人カードですか。」

「いや、法人設立時に法人カードの発行を断られて、
 それ以降個人のクレジットカードで支払っています。
 その金額だけ、会社から出してもらっています。」

「その明細書を会計事務所に見せていましたか。」

「事務員さんから請求されていないので、しばらく見せていません。
 税理士事務所で処理してくれていると思います。」


「えっ・・・・」
 

いかに依頼を受けている税理士事務所とはいえ、
明細書を直接クレジット会社から取り寄せることはできません。

つまり、社長としては、精算できているつもりであった旅費などの経費が、
コミュニケーション不足のため、経費に処理されず、仮払金となっていたのです。

ただ、この税理士事務所の注意義務が著しく不足していたことは明らかです。
多額の仮払金について、指摘したり質問していなかったのです。


ある、大手の税理士事務所グループでは、
毎月の処理を期日までに完了するようにと、事務職員に徹底させる傾向があります。

月次処理が遅れてしまうからと、
クライアントに対して、問い合わせるべき事柄を問い合わせずに、おろそかにする弊害が出ています。
  
経費が、少なくなっている場合は、税務署も指摘しません。
  
   
今回のケースは、本来費用に計上出るものを、仮払金にして、
結果、法人税などを500万円近く多額に納付させてしまっていた
ことになります。
   
   
この会社は、先代が創業時に、この税理士にたいへんお世話になっていたこともあり、
2代目社長が、この税理士事務所に頼りっぱなしで、全部任せていたことも原因の1つにありました。


通常、税理士事務所の職員は、税理士の資格を持っていません。
毎月、会社を訪れる税理士事務所の職員さんは、税理士の補助者に過ぎません。
多くの場合、事務職員さんは税金の質問に答えたり、会計処理の問題解決ができません。


代表の税理士が、うまく事務職員を指導監督できているか?
税理士が、あなたの会社の決算書や試算表を真剣にチェックしているかどうか?

ときどき確認してください。
  
    
せめて決算のときには、代表の税理士さんに説明をしてもらってください。


クライアントさんと直接向き合って仕事をする。
税理士事務所の規模を大きくしすぎない。
税理士の仕事について再認識した1件でした。   
 
   

● 今回の記事はいかがでしたか? もし参考になりましたら、
  下記の「いいね!」ボタンをクリックして、口コミにご協力ください。
     

      
       


もっと知りたい方はこちらへ  
    
大まかなことは分かったけれど、
自分の事業に置き換えた場合、具体的にどうすればよいのか??
 
もう少し、自分の事業内容にそった詳しい解説がほしい・・・!

 ……そのように感じられて当然かと思います。
 
  ですがブログという性質上、
  個々の業種や状況などに応じた具体的な解説は難しいのです。
  
  よろしければ下のリンクから、どうぞお気軽にお問い合わせください。
  相談料は初回無料です。
                           ⇒ お問い合わせはこちら

コメント&トラックバック

この記事へのコメントはありません。

コメントする

※メールアドレスは公開されません。